いつものことだから……。
この時期はこれが定番だから……。
みんなそうやっているから……。
お客さまはそれで慣れているから……。
というのは、売り手の勝手な思い込みです。
お客さまは何を手に入れたいと思っているのでしょうか?
なんとなく気になったワケは?
先日、表参道を歩いていたところ、気になるショーウインドウを見つけました。
確か、シャネルだと思ったのですが……。
これから夏本番だというのに、どう見ても色使いはクリスマスじゃありませんか?? (緑のトナカイまでいたので、間違いないでしょう。)
ある意味、違和感満開なんですけど、時期的に「夏!」「海!!」「セール!!!」的な演出が多い中に、この見せ方は目立ちます。
「赤」と「緑」という色を目にしただけで、勝手にわたしの脳は「赤と緑だから、クリスマス」と変換したんですね。
具体的に見せなくても、伝わること
ふと思い出したことがあります。
一昨年の冬、渋谷ヒカリエを通りかかった時です。
ヒカリエの館内装飾が何となく気になったのです。
「なんだろう」と思ったものの、時間がなかったので、何が気になったのか、よくわからないままその場を去ったのですが、帰りの地下鉄車中で、ヒカリエの中吊り広告を見て、謎が解けました。
http://www.fashion-press.net/news/7889
実は、わたしが目にした館内装飾には、何も、具体的なクリスマスアイテムは描写されていなかったのです。(写真なくて残念)
赤いドレス、グリーンの背景、円錐形の照明効果、螺旋状の額縁の配置、ゴールドの装飾物、これらが組合わさっているので、ぱっと見には、クリスマスの広告に見えたのです。
ヒカリエのクリスマス装飾は、ぱっと見の第一印象だけで、わたしにしっかりとイメージを伝えたということですね。
目立つことは大切だけど……。
人目を惹くには、とにかく目立つことです。
目立つといえば、目立つ色を使うとか、大きい文字を使うとか、派手なビジュアルを使うとか、いろいろあります。
でも、デジャブ感のあるものには、人は惹かれないものです。
この時期当たり前の「夏」の装飾には、わたしはちっとも興味を惹かれませんが、「夏なのにクリスマスのイメージ?」という微妙な違和感のあるシャネルには興味を惹かれたということです。
去年も見た、どこかで見た、と思われてしまうようなものには、価値がないのです。
お客さまが求めているものは?
クリスマスにしろ、夏の装飾にしろ、毎年どこの店でも同じような時期に演出をするものですよね。
かつて、前職のファッション専門店時代、販促物を作る部署にも在籍していたことがあるわたし、いかに他の店と差別化して、目立つような演出にするにはどうしたらいいのか? 頭を悩ませていたものです。
とは言え、シーズンなりイベントなりの「ステレオイメージ」から逸脱してしまうと、お客さまに伝わらないのではないかと思うと、思い切ったことはなかなかできませんでした。
いつものことだから……。
この時期はこれが定番だから……。
お客さまはそれで慣れているから……。
というのは、売り手の勝手な思い込みですね。
お客さまは求めているのは、自分が手に入れたい未来のイメージです。
あなたは、お客さまにどんなイメージを見せてさし上げたいと思っていますか?