業界のことは業界の人が一番知っている、というのはマボロシです。
例えば、ある業界では当たり前で、それで差別化なんてできないと思われているようなことが、異なる業界では全く新しい考え方で、そこに価値が生まれる。なんてことはよくあります。
自分のいる環境が全てだと思ってしまうと、案外気づけないものです。
常識をひっくり返し、異業種の成功事例を取り入れることで、新しい価値は生まれるものです。
スーパー公務員が持つ溢れる起業家精神!ナポレオンの村
毎週日曜日、21:00〜放送中の「ナポレオンの村」ご覧になっていらっしゃいますか?
廃村の危機に瀕している限界集落の町おこしをテーマに、スーパー公務員浅井栄治(唐沢寿明さん)が、アイディアを出して住民を巻き込んで、問題を次々解決していくお話です。
浅井はスーパーマン!! 八面六臂の大活躍で、次々に難題をクリアしていくのですが、彼が特に優れている2つの力があります。
「当たり前」のことに価値を見い出す力と、目的のために人を巻き込み動かす力です。
何の変哲もない当たり前のことに価値を見い出す力
先週放送の第3話は、「神楽村の豊富な食材を活かして外から人を呼び込めるレストランを作る」というお話でした。
村内の古ぼけたレストラン、店は荒れ果て、オーナーの態度は悪いが、料理の味は一級品。オーナーから、亡くなった妻の夢「この村の景色のいい場所で洒落たレストランを開きたい」を聞いた浅井は、一緒に夢を叶えようとオーナーに働きかけます。
浅井が出したアイディアは、美しい滝が眺められる滝壺で、神楽村の食材を使ったレストランを開くというもの。
村の住民に協力を仰ぎ、みんなの力を合わせて準備を進めるが、その状況を快く思わない市長は、ある方法を使ってレストラン開店を阻止しようと動く……。というお話でした。
ここで、浅井の持っている「何の変哲もない当たり前のことに価値を見い出す力」が発揮されます。
地元の主婦が山菜に関する豊富な知識を持っていることを知った浅井は、彼女たちにレストランでの接客担当を頼みます。
「そんなことやったことないから」と尻込みする主婦たち。浅井は「みなさんが知っている山菜に関する知識をお客さんに話してあげるだけでいいんです。」と伝えます。
「そんなことでいいの? それならできるかも」と、主婦たちは接客担当として、レストラン開店当日、集まったお客さんに見事に食材の説明をやってのけました。
専門家ということを一瞬で伝える、魔法のキャッチフレーズ
浅井は、主婦たちが持っている豊富な山菜の知識に目をつけました。
それは、神楽村に住んでいる人々にとっては、いわば「生きていく上で当たり前のこと」で、村の中にいる限り、そのことに価値を見い出す人はいなかったのです。
例えて言うなら、日本に住んでいる限り日本語がしゃべれて、箸が使えることは「生きていく上で当たり前のこと」で、それができるからと言って誰も褒めてくれませんが、外国に行けば、日本語がしゃべれて箸が使えるというのは、ものすごいスキルとなる……。ということと同じですよね。
そして、浅井は、接客担当の彼女たちを「山菜ソムリエ」と名付けました。
これは、いいですね!!
普通にソムリエといえば、ワインの専門家のことですが、今や、日本酒の専門家は日本酒ソムリエ、野菜の専門家は野菜ソムリエ、お茶の専門家は緑茶ソムリエ、と呼ばれる時代です。
山菜の専門家、山菜のスペシャリストということが、一瞬で伝わります。
「◯◯ソムリエ」
コレ、使えるなあ〜とテレビを見ながら、わたしは心の中にメモしました。(^^)
客観的な視点が何よりも大切!
ある環境では、至極当たり前で価値がないと思われているようなことが、異なる環境では価値を持つ。
コレ、自分のいる環境が全てだと思ってしまうと、つい忘れがちですよね。
世の中には、全てが全て新しいものなど、なかなかありません。ただ、常識をひっくり返し、異業種の成功事例を取り入れることで、新しい価値が生まれるものです。
業界のことは業界の人が一番知っている、というのはマボロシです。
時には、フラットな客観的な視点で見直してみましょう。
新しい価値に気づけるかもしれませんよ。