お客さまを絞るのが怖い。
こういう悩み、よく伺います。
お客さまになってくれそうな人を取りこぼすのは、怖いですよね。
ビジネスで、このような迷いは常に付きまといます。
お客さまの絞り込みは大切なのですが、絞り方を間違えると大変です。
できれば、実在する、悩みや問題を抱えている人をリアルなお客さまと想定すると、わかりやすいですよね。
実際にそのような絞り込みを行ったらどうなるのか?
いい例がありましたので、ご紹介します!
ハマってます!マツコの知らない世界
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毎週火曜日、わたしが楽しみにしているのが「マツコの知らない世界」
毎週、様々な「極狭」ジャンルの専門家(ほとんどが一般人)が登場し、自分の大好きな、とあるこだわりの世界について、マツコ・デラックスさんにレクチャーするというスタイルの番組です。
この番組で語られるのは、いつも常人には理解不能な「知らない世界」のこだわり情報のオンパレード。
「カルトQ」とか「TVチャンピオン」が大好きだったわたし。このような「よくわかんない世界にやたら詳しい方」、大好物です!
特に、「マツコの知らない世界」で食べ物が紹介される回は、マツコさんの「食べっぷり」が話題になりますね。
先週のテーマのひとつ「立ち食いそば」。滅多にメディアに出ない小諸そばが登場したということで、こんなことが起こったそうです。
「マツコの知らない世界」に登場した「小諸そば」のサーバーが一時ダウン
さすが、鉄板の食べ物ネタ! 予想通りの反応が出ましたね。
マツコの知らない世界の特異性
さて、この「マツコの知らない世界」、よくある情報番組と決定的に違うところがあります。
最近の情報番組と言えば、とにかく出演者が多い! MC、アシスタント、ひな壇と呼ばれる階段状の席に座るタレント出演者、そして、情報提供者としてレポーター、及びその業界の専門家、etc.
ところが、「マツコの知らない世界」、基本的な出演者は、マツコ・デラックスさんと専門家の2人きりです。
そして、専門家は、目の前にいるマツコ・デラックスさんに対して、一生懸命に自分の伝えたい世界についてプレゼンします。
「マツコさんに伝えたい、マツコさんにわかってほしい」と、熱く熱く想いを語ります。
先日、松岡修造さんが出演されて「テニスの世界」をプレゼンされた時も同じでしたね。
松岡修造さん、プロテニスの世界がいかに厳しいものなのか、その中で錦織圭選手はどれほどスゴいのか、ということを実演を交えて、マツコさんに一生懸命に伝えていました。
その姿、テニスど素人のわたしにも、十分伝わってきました。
たったひとりのお客さまを徹底的に喜ばせようとすることによって、その向こう側にいる多くのお客さまに共感される。
コレ、ビジネスの第一鉄則ですが、「マツコの知らない世界」で繰り広げられているのは、まさしくそれです。
マツコは視聴者代表
マツコ・デラックスさんは、なぜ人気があるのか?
わたしがいつも感じるのは「自分は情報の出し手ではなく、視聴者目線で情報を聞く立場である」という、マツコさんの絶妙なスタンスです。
MC的立場であってもご意見番やパネラーとしての立場であっても、マツコさんは見聞きした情報に対する、自分なりの「距離感」をきちんと表明します。
「それ、知らなかった」
「あなたが思っていらっしゃるより、わたし知ってますよ」
「これは、わたし好きですよ」
「嫌いじゃないです」
「みんなそう思うでしょ?」「そんなの当たり前でしょ」ではなく、「わたしは知っている(知らない)」「わたしは好き(嫌い)」という意思表明と、その度合いをきちんと表現してくれます。
例えば、食べ物の回。
専門家が言葉を尽くして一生懸命に説明しようとするのを遮るように、マツコさんが黙々と食べていることがあります。
話したい専門家と、話さなくてもわかると行動で訴えるマツコさんの静かなバトルが繰り広げられていると、見ているこちらとしては、それだけで十分「食べたい!」と気持ちが高まります。
だから、「マツコ売れ(=マツコの知らない世界でマツコが絶賛したものが売れる)」などといったマーケティング的なバロメーターになるんですね。
たったひとりのお客さまを徹底的に喜ばせる!
お客さまを絞ることによって、お客さまになってくれそうな人を取りこぼしたらどうしよう。
ビジネスで、このような迷いは常に付きまといます。
お客さまの絞り込みは大切なのですが、絞り方を間違えると大変です。
だから、絞り込みは慎重にやるべきですし、できれば、実在する、悩みや問題を抱えている人をリアルなお客さまと想定するのが良いと言われています。
実際にそのような絞り込みを行ったらどうなるのか? その答えを鮮やかに出してくれたののが、「マツコの知らない世界」ではないでしょうか。
常に、自分の気持ちを素直に表現するマツコ・デラックスさんのスタンスに共感している視聴者は、「マツコは次に何をどのように評価するのか?」と、いつも興味津々です。
「マツコの知らない世界」でわたしたちが得られる情報は、「マツコ・デラックスさんのフィルターを通した情報」です。これを視聴者は求めているのです。
専門家が語るだけではダメなんです。聞き手としてのマツコ・デラックスさんがどうしても必要なんですね。
なんとまあ……。テレビの世界でも「お客さまの絞り込み」が成功のカギなんですね!