「お客さまはどうなりたいと思っているのか?」
「お客さまは、何が望みなのか?」
「お客さまは、何を期待しているのか?」
「自分の商品やサービスは、
お客さまの望みや期待に答えることができるのか?」
お客さまに喜んでいただいてお金をいただこうと思うのなら、
これらを徹底的に考えること、どんな仕事においても一番大切なことです。
それは、会社員でも、個人起業家でも、全く同じです。
わたしの25年のファッション業界における会社員人生のうち、
半分くらいは、実際に販売に関わる仕事でした。
2012年の3月で会社を辞めました。
最後の半年間の仕事は、本社での業務改善業務だったので、
いわゆる販売の現場を離れて、もう2年以上たちます。
今は買い物に行っても、完全に「イチ消費者」です。
今の仕事では、渋谷や新宿に行くことが多いので、
仕事帰りにいろいろな店を見ながらブラブラすることもあります。
季節の変わり目ともなれば、ちょっと「買う気」にもなっています。
気になったものがあれば、ワリとちゃんと見ます。
ですが…。
「そちらの◯◯は、シルエットが××ですから、あわせやすいですよ。
他のお色は◎△$♪×¥●&%#?!~(以下省略)」
「どうぞご試着くださいね。よろしければサイズもお出しします。
◎△$♪×¥●&%#?!~(以下省略)」
「今、このデザインすごい売れているんですよ!
一度完売したんですけど、やっと今日入荷したんですよ!
でも1枚しか入ってこなかったんです。
ですから◎△$♪×¥●&%#?!~(以下省略)」
ウインドウショッピング中のわたしに声をかけてくれる販売員さん、
10回のうち9回は、こんな声かけです。
う~ん、残念…。
お客さまは、店側が伝えようと必死になっている
「一般的な品質(形、シルエット、色、材質、等)の良さ」
「店側の都合(今試着室が空いている、全サイズ売場に出ていない)の釈明」
「一般的な流行、トレンドと、店の商品在庫についての情報」
には、全く興味はありません。
興味あるのは、
「これは、わたしに似合うのか?」
「これは、わたしの持っている服と合うのか?」
「これは、わたしのニーズ(着ていきたい場所・シチューエーション等)に合うのか?」
「これは、わたしの考えている予算で買えるのか?」
です。
実は、お客さまも何らかの興味があって、商品に手を触れたとしても、
その興味ポイントがどこにあるのかということに、
自分では気づいていない……!
ということがあります。
自分のことは自分ではわからないものなんですよね。
だから、そこをサポートしてくれる声かけがあると、
「ああ、だから、これがいいなと思ったんだ!」ということに気づけて、
一気に「欲しい!」という気持ちが高まるものです。
お客さまは、自分の良さを引き出してくれて、
自分が素敵に見えるファッションを求めているんです。
たとえ世間的に大流行しているデザインや色の洋服だとしても、
それが自分の良さを引き出してくれるのでなければ、
全く着る意味はないですよね。
売場に並んでいるたくさんの商品、
こんなお客さまの「願い」「望み」を叶えてくれているのでしょうか?
以前のわたしは、商品の良さを「どう伝えるか」そして「どう売るか」を
必死に考えて、そのやり方を部下に教えていました。
でも、やるべきことはそれではなかったと、今本当に思います。
「お客さまはどうなりたいと思っているのか?」
「お客さまは、何が望みなのか?」
「お客さまは、何を期待しているのか?」
「自分の商品やサービスは、お客さまの望みや期待に答えることができるのか?」
これを徹底的に考えることだったのです。
お客さまの立場に立って考える。
言い尽くされている言葉ですが、
どのくらい言葉の真の意味をわかって行動できているでしょうか?
つい、自分の立場とか事情とか考えて、
「できる範囲」のことで問題解決を考えてしまうのではないでしょうか?
「できる範囲」の壁をどれだけ取り払って行動できるか、ですね。