どんなお客さまに来てほしいのか、どんな風に買ってほしいのか、買った後どうなってほしいのか。
これらの質問に対するあなたの答えが明確であれば、たとえ同業他社と同じものと売っていたとしても、あなたがイメージしているお客さまは、あなたから買いたいと思うものです。
3月8日の日曜日、「がっちりマンデー」ご覧になりましたか?
テーマは『その業界でだけ超有名!「儲かる業界スター!!」』
業界のカリスマというべきスゴイ人が次々紹介されていました。わたし、こういう話、好きですね〜。
いや〜、すごいお店が紹介されていました。
その名も、本屋が集まる本屋さん! 北海道札幌市のくすみ書房です。
パッと見た感じは、いたって普通の本屋さんなのですが、店の奥に進んでみると……。そこには、こんなフェアが!
「なぜだ!売れない文庫フェア」
「中学生はこれを読め!」
「高校生はこれを読め!」
「小学生はこれを読め!」
スゴイ! こんなこと言っちゃうくすみ書房、実にキャラ立ちしている本屋さんですね。
ご存知の通り、本は日本中どこでも同じものを売っています。基本的には、値段も同じです。
出版不況と言われる昨今、出版点数に対する印刷部数は減る一方、ネット書店の売上が伸びている反面、町の本屋さんは次々廃業していると聞きます。昔は小中学校の前には、当たり前のように本屋さんがあったものですが、今はそうではないですよね。
なぜかと言えば、もう本はネットで買うのが当たり前になってしまっているから。わたしもそうです。店で本を買った後持って帰るのが面倒なので(重いし)、もっぱらAmazonを愛用しています。特に、新刊や書名がわかっている目的買いの場合はそうです。
本屋さんで、目的を決めずに見て回って、「あ、こんな本あるんだ!」と気づいたりするのって、楽しいですよね。こういう思いがけない発見というのは、Amazonではなかなかできません。
でも、ただ置いてあるだけでは、お客さまはなかなか気づけません。(いっぱいありすぎて) だから、グルーピングして、タイトルをつけてあげることで、初めてそれらの本は光を放つのです。これはやっぱり本屋さんの役割ですよね。
くすみ書房の仕掛けているイベントは、リアル書店の長所である「思いがけない発見をお客さまに促す」ことにとどまらず、
書店の立場として「こういう本があるということを知ってほしい」「実は難しい本選びは、プロの目に任せてほしい」というメッセージをお客さまに向けて発信しています。
お客さまはそのメッセージをキャッチしているから、これらのフェアの本が売れるのでしょう。すごい逆転の発想ですね。
「売れない文庫フェア」で紹介されている本は、売れないからと言って決して駄本ではないはずです。ただ、知られていないから売れていないだけですよね。だから、フェアという形で、お客さまに本の良さに気づいていただいて、手に取ってもらうきっかけを作ることで、お客さま・書店・出版社、三方よしの状態を作っているんですね。
このくすみ書房には全国の書店経営者が見学に来て、くすみ書房のやり方を自分の店に取り入れているそうです。
同業者と同じものを売っているから、値段を変えられないから。
うまくいかない時、起業家は、「売れない」「お客さまが来ない」ことについて、こんなふうに、つい言い訳をしたくなるものです。でも、それは決して正論ではありませんよね。
どんなお客さまに来てほしいのか、どんな風に買ってほしいのか、買った後どうなってほしいのか。
これらの質問に対する答え、明確にお持ちですか?
「お客さまが来ない」とお悩みの方、たった一人の理想のお客さまは決めていらっしゃいますか?
決めてもいないのに「来ない」と悩んでも、それは来ないのが当たり前です。自分のためのモノ、サービスと実感できないと、お客さまは決してお金を払ってくれないものですから。
逆に、自分にとって一番いい商品、サービスを売ってくれているのがあなただと実感できれば、それがどこでも売っているものだとしても、お客さまは、あなたから買いたいと思うのです。
どんなお客さまに来てほしいのか、どんな風に買ってほしいのか、買った後どうなってほしいのか。くすみ書房は実に明確です。そして、お客さまに合わせたご提案をしていますよね。
くすみ書房に学ぶべきポイント、大いにありますね。札幌に行く機会があれば、ぜひ見に行きたいです。
現在、GAPの一部店舗で配布されているノートタイプのフリーペーパー「CITY GUIDE」でもくすみ書房が紹介されていました!