口コミで広がっていく評判は、誰にも止めることはできません。
マーケティングの真髄は、評判が評判を呼ぶ状態、人が人を呼ぶ状態、つまり口コミで評判が広がっていく状態に持っていくことです。
昨日から実家に帰ってきているのですが、やっぱり東京とは違いますね。
何が違うか? それは人の数。
東京は本当に人が多いです。どこに行っても。わたしは、初めて「伊勢丹」に行った時、「平日の昼間なのに、なんでこんなに人いるの〜!?」と思ったことを今でも忘れません。(笑)
さて、人が多いところに、必ずと言っていいほどできるものがあります。
それは「行列」
ある冬の日の行列の記憶
わたしには、「行列」の強烈な記憶があります。
ある冬の日、その日は大雨でした。新宿のサザンテラスを歩いていたら、目の前に大行列が出現しました。「2時間待ちで〜す」と、プラカードを持って声を枯らしていたお兄さんが行列を整理していました。
「こんな日に何?」と気になったものの、寒いし雨だし、そのまま通りすぎました。でも……。後で気になって、あれはなんだったのか?と、調べてみたらわかりました。
あの「クリスピークリームドーナツ」の日本一号店開店直後だったんですよ。
この「行列」の印象が強すぎて、わたしにはしばらく「クリスピークリームドーナツを並んでまで買う勇気」が出ませんでした。(笑)
行列プロモーションという手法
さて、このような「話題の店」「日本初上陸」といった、興味を引きやすい謳い文句につられて、「何だろう」と人は必ず押し寄せます。(最近でしたら、清澄白河と青山の「ブルーボトルコーヒー」でしょうか。)
そこに必ずできる行列は、無料のプロモーションと言えますね。
クリスピークリームドーナツの行列は、何も知らない、たまたま通りかかっただけのわたしに「何だろう?」と興味を持たせ、調べさせて、強烈に印象づける効果があったのです。
行列ができるほどなんだから、きっと美味しいに違いない。
行列までしたんだから、きっと満足できるはず。
わざと「行列」ができるように操作する、というプロモーションもあるくらいです。
インターネットの世界では、お客さまの動きが見えにくいことも多いので「行列」の感覚がつかみにくいかもしれませんが、「即日完売」とか「満席御礼・キャンセル待ち」という文言が出ている場合は、「行列」ができていると言ってもいいかもしれません。
即日完売するほど人気あるんだ。
すぐに申し込んでおいてよかった、キャンセル待ちにならなくてよかった。
そして、お客さまは、勝手に思い込みます。
行列してまで待った甲斐があった。
こんなに人気があるんだ、すぐに申し込んでおいて本当に良かった。
この「思い込み」がミソなんです。
お客さまが、ある意味「勝手に」思い込んで、「勝手に」ハードルを上げた結果、予想以上の満足が得られたらどうでしょうか?
口コミは誰にも止められない!
「行列してまで行った甲斐があったよ!」「すごく良かったよ!次はすぐに申し込まないと、すぐ定員オーバーだよ!」と人に伝えたくなりますよね。
ここで生まれるのが、口コミ。
口コミで広がっていく評判は、もう止められません。
行列プロモーションの真髄は、最終的に「人が人を呼ぶ状態」、つまり口コミで評判が広がっていく状態に持っていくことです。
ですから、意識して行列を起こすためのテクニックがあります。
例えば、わざと少なめの定員数で募集をかける、一般募集する前に先行募集でお客さまを集めておく、顧客向けに予約を取り付けておく、という方法です。
そして「即日完売しました。ありがとうございます。」とか「満席御礼・キャンセル待ち受付中」といったメッセージを出し続けることによって、知らない人にも「何だろう?」と興味を持っていただくきっかけになるわけです。
「行列を作って口コミを起こす」この方法、いろいろな局面で使えそうですね。
あなたはどんなやり方で、「行列」を作りますか?