ブームというものは、いつかは終わるものです。
たくさんのブームが生まれては消えていきますが、多くのファンを掴み、定着したものだけが「社会行事」や「季節行事」として残るとも言えます。
そろそろ……。2月の恒例イベントが近くなってきましたね。
昔と今。こんなに違うバレンタイン商戦
2月14日は、ご存知「バレンタインデー」です。
チョコレート業界にとって、バレンタイン商戦は、年間最大のかき入れ時です。
百貨店やショッピングセンター、はたまた有名ショコラティエをはしごして、最高のチョコレートを探す人も多いでしょう。
ところが、このバレンタイン商戦、一昔前とは随分様変わりしました。
バブル期のバレンタインと言えば、一流レストランやホテルで最高のクリスマスを過ごしたカップルや、狙いを定めた三高男性に想いを伝えたい女性が、1箱何千円もするチョコレートを買い、一緒にプレゼントする時計やバッグを買い、の一方で、会社の上司や同僚に手当たり次第に義理チョコを配りまくり……。
とにかくチョコレート(とお金)が動きまくったものでした。
ところが今はどうでしょうか。
草食男子、さとり世代、と言われる今の若者たちは、物質的なモノには興味を示してくれません。
高級ショコラティエは、本命用のチョコレートが売れなくなったからでしょうか、自分へのごほうびとしてチョコレートを買ってもらえるようなプロモーションに精を出しています。
そして、「パワハラ&セクハラの温床では」と批判を受け、すっかり小さくなった義理チョコ市場。^^;
今や、デパートのチョコレート売場は、女性同士がワイワイ楽しみながら、お互いに贈り合う友チョコをターゲットにしています。
そして、スイーツ好きの男性本人をターゲットにしたチョコレートの提案をする店も増えているとか。
でも、考えてみれば、当たり前かもしれません。
時代が変わったのですから。
こんなに変わる!社会行事「福袋」の例
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当たり前だったことが時代とともに変わってきた例のひとつが、福袋です。
思えば、デパート初売りの福袋に人が群がっている光景、毎年のお正月ニュースの恒例でしたが、最近めっきり見なくなりました。代わりに放送されるのは、変わり種福袋です。
「◯◯が体験できる」「限定◯名様」「◯◯万円の福袋」とか、変わり種福袋にあるのは、話題づくり要素がメインですよね。
これらの変わり種福袋、数も少なく高額であることから、そもそも、お客さまが朝から大行列をなして殺到することを期待するようなものではありません。
はっきり言って賑やかしと言えるでしょう。それらが売れたからといって、店全体の売上を大きく押し上げるものでもありません。(福袋と名前がついていても、そもそも袋でもなかったりします。笑)
お客さまに提供しているのは、「夢の実現」であったり「一生に一度の体験」だったり。
そう、世の中は、モノを所有することよりも、体験を楽しむことにお金を使うという価値観に変わってきているのです。
そう考えると、ひと昔前のバレンタイン商戦は、とにかく「高価なものを買ってもらう、たくさん買ってもらう」ことをめざしていましたが、今はどうでしょう。
「好きな男性にチョコレートを贈って想いを伝える」という、日本のバレンタインにおけるそもそものコンセプトが崩壊しつつあることを考えると、この路線では大きな市場開拓は望めません。
なので、バレンタインの定義を少し緩めて「チョコレートを食べる」という部分だけを残して、「友達と贈りあう」「友達と食べる」「女性が自分へのプレゼント」「男性が自分で買う」という買い方のバリエーションを提案しているのですね。
社会行事として定着なるか?ハロウィンの例
そう考えると、ハロウィンがイベントとして、日本の若者の間に根付いた理由も説明できます。
もともと、ハロウィンが持っていた要素は「精霊や魔女から身を守るために仮面をかぶって仮装する」「カボチャをくりぬいてジャック・オー・ランタンをつくり、悪霊を追い払う」「仮装した子供たちがみんなで近所を回ってお菓子をもらう」です。
これらの要素から、「仮装」「みんなで」という部分だけを取り出して「仲間でコスプレして街に繰り出してお祭り騒ぎして楽しむイベント」として再構築したのが、現代日本のハロウィンです。
この定義は、「つながり」を求める現代の若者社会にピタッとフィットしたため、今、定着しつつあるのではないでしょうか。
ブームというものは、いつかは終わるものです。
たくさんのブームが生まれては消えていきますが、多くのファンを掴み、定着したものだけが「社会行事」や「季節行事」として残るとも言えます。
ハロウィンがクリスマス並みに定着できるかについては、あと数年の検証期間は必要ですね。
次世代のバレンタインは?
さて、本日(1月22日)現在、デパートには、バレンタインの気配がありません。(あと3週間しかないのに。焦)
バレンタイン、がんばって!
そう言えば、「バレンタインデーに女性から男性にチョコレートを贈って告白」自体が、日本のメリーチョコレートが仕掛けたマーケティングイベントが発祥だった、というのはご存知でしょうか?(詳しくはコチラ)
なので、今度は、チョコレート業界以外の業界が新規参入して、起死回生のアイディアで、全く新しいイベントとしてバレンタインを蘇らせるのをめざすというのも、アリですよね。
期待したいです!