自分が見せたい面とお客さまが見たい姿を一致させるというのが、わたしがめざすブランディングですが、なかなか道は険しいなあと感じたことがありました。
わが地元が、テレビに出る!
1月16日の月曜日から始まった、TBS系「結婚したら人生激変!◯◯の妻たち」ご覧になってますか?
初回の放送は、元シンクロオリンピックメダリスト武田美保さんのエピソードをやると知ったので、楽しみに見ました。
武田さんは、シンクロ引退後、エリート官僚の方とご結婚されたのですが、結婚後1ヶ月で夫が突然仕事を辞めて政治家になると言い出したことから苦労が始まったというストーリーでした。
武田美保さんのご主人が国会議員になるために、落下傘候補として降り立ったのが、わが地元「三重県鈴鹿市」だったのです。
わたしは普段映画やテレビを見て泣くことはほとんどないのですが、武田さんのストーリーに昨日は涙がこぼれました。(;;)
まあ、その話は置いといて、わたしはこの番組を見ていて、大変気になることがありました。
それは「わが地元、三重県鈴鹿市のイメージって、こんななの?」ということです。
そこまで田舎じゃないのに、なんで?
武田美保さんのご主人が、総選挙に出馬するにあたって、当時の自民党から与えられた選挙区は、鈴鹿市を含む「三重二区」でした。お二人にとって縁もゆかりもない土地です。
ということで、鈴鹿市が紹介されたのですが、最初のシーンから私は唖然。
ファーストカットはシャッター通りの商店街、次に映ったのは漁港、その次は畑仕事をしている農家の方々。
こちらのブログから写真をお借りしました。
「え〜っ」
思わず声が出てしまいました。
三重県をあまりご存じない方に申し上げますが、鈴鹿市の人口は19万人で三重県内第3位!(1位は四日市市。2位は県庁所在地の津市)
市内には、本田技研や旭化成などの大きな工場が立ち並んでいます。車好きの方にはモータースポーツの聖地、鈴鹿サーキットでおなじみですよね。
ところが、そのようなシーンはひとつもなく、出てくるのは田舎風のシーンばかり。地元意識に固まった、よそ者を受け入れない土地柄、として描かれていました。
ショック……。
もちろん、鈴鹿にもそういう地域があることは、わたしも知っています。
漁港は今でもアナゴの水揚げが多く、山間部はお茶の栽培が盛んです。郊外に大型ショッピングセンターがいくつもあるので、駅前の商店街は確かにシャッターが閉まっています。
困ったことに、画面に映ったのはウソではないのです。
でもそれは鈴鹿の一面を切り取っただけに過ぎません。
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古くは神話の時代、日本武尊が亡くなった場所は鈴鹿だと言われています。
江戸時代には、鈴鹿の伊勢若松出身の大黒屋光太夫がロシアへの漂流民となったものの、日本への帰還を果たし、多くのヨーロッパの知識を日本に持ち帰っています。(わたしの父は大黒屋光太夫をライフワークとして研究しています。)
戦時中は日本軍の航空基地があり、戦後はその跡地に紡績工場や自動車工場等が次々できて、街は大いに発展しました。
市内にある有名企業のツートップは、本田技研&旭化成です。関連企業含めて、多くの雇用を生み出していて、今では、国内外から多くの人が移り住んでいる、住み良い街です。
また、Yahoo!Japanが行った「ご当地ナンバー人気調査」で「鈴鹿」はダントツのNo.1人気だそうです!
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……。これ以上、出ません。笑
確かに、わたしも高校卒業して家を出ましたので、ここ最近の鈴鹿の街がどのように変化したのか、全て知っているわけではありません。
でもでも、子どもの頃でさえ、鈴鹿が(そこまで)田舎だとは全く思っていなかったので、今になってこんな形で全国に紹介されるなんて。
納得できない!
と、まぁ怒っても仕方がありません。
興味を持たせ、わかりやすく見せるテクニック
「武田さんご夫婦にとって、縁もゆかりもない未知の土地」である鈴鹿市をわかりやすく紹介するのに、田舎という一面を切り取って見せたほうがわかりやすいのは決まっています。
最初は地元の人になかなか受け入れられなかったけれど、がんばった末、認めてもらえるようになった、と描くほうが、ストーリーとしてもおもしろいです。
もし、誰かの波乱万丈ストーリーを感動的に紹介しろと言われたら、わたしだってこうします。
でも、自分が当事者意識があるとなると、やっぱり話は別でした。
今回、テレビに登場したわが地元の姿は、自分が見せたい面とお客さまが見たい姿を一致させるという、わたしがめざすブランディングとは程遠いものでした。
思えば、F1ブームで東京から鈴鹿に信じられないくらい人が押し寄せた(本当です!)のはもう30年近く前の話でした。大黒屋光太夫は映画(おろしや国酔夢譚)にもなりましたが、それも25年前の話でした。
最近どうかといえば……。特にネタはありませんでした。
これでは、どうしようもありません。全国の方に鈴鹿を知っていただくのに、既にブームが去ったF1(ごめんなさい!)を引き合いに出しても「何それ?」となるだけです。
全国のみなさんに鈴鹿市とはなんぞやを知っていただけるように、鈴鹿市をブランディングしていくための努力は、これからも必要みたいです。
微力ながら、なんかお役に立ちたいなあと思いました。
武田美保さんとご主人の、その後。
ちなみに……。
武田美保さんのご主人鈴木英敬さんは、最初の総選挙では残念ながら落選したものの、その後三重県知事選挙に挑戦され、大接戦の末見事当選! 現在二期目を務めていらっしゃいます。
鈴木英敬知事は、2016年伊勢志摩サミットのホスト役として大役を果たされ、知事当選後に生まれたお子さんを育てるために育休を取ったイクメン知事として知られています。
鈴木知事、美保さん、鈴鹿市のこと、今後ともよろしくお願い申し上げます。