人が共感するポイントというのは、時代によって変わるものです。
いわゆる「世間一般の常識」というのは、ホントに変わるものですから。
おバカ、ポンコツ、そして……。
わたしの子どもの頃、クイズ番組というのは「頭のいい人」が出場するものでした。持てる知識や解答テクニックを駆使して戦い、勝利をおさめた人は「クイズ王」なんて持てはやされたものです。
それが……。ある時期、知識を問うクイズ番組は絶滅しかけました。そうです。「クイズ!ヘキサゴン」という、とんでもない番組が生まれたからです。
「ヘキサゴン」でスターとなったのは、一生懸命に答えているのに、なかなか正解を出すことができない、いわゆる「おバカ」と言われる人たちです。彼らはCDデビューし、ライブを行い、どんどん活躍の場を広げていきました。「できないことが、持てはやされて、スターになる」なんて、スゴい時代が来たもんだ……。と思いました。
ところが、おバカが持てはやされる時代は、あっという間に過ぎてしまいました。
おバカに続くキーワードは、「ポンコツ」でした。
主に知識や教養面について言われていた「おバカ」に対して、主に行動面で空気が読めなかったり要領が悪かったりすると「ポンコツ」と言われています。
当の本人は当たり前のように、一生懸命にやっているのに、なかなか上手くいかない、ポンコツと言われる人は、そんな人です。(ポンコツについてはコチラをどうぞ。)
ところが、今や、ポンコツを超えるとんでもない人々にスポットが当たっています。
「アウトな人」と言われる人々です。
アウトな人って?
わたしの大好きな番組のひとつ「アウト×デラックス」では、有名無名に関わらず、世間一般の常識とかけ離れている、型破りな「アウトな人」と言われる人をゲストに招いてトークを繰り広げます。
彼らにとっては当たり前の常識は、一般的には非常識で「アウト」と言われてしまうようなことばかりです。なのに、なぜか憎めず、むしろ好感が持てるのはなぜなのでしょうか?
それは、きっと誰しも「人には言えないけれど、自分にもそんな面があるかも……!」と思えるふしがあるからですよね。
本当の自分の姿を包み隠さずカミングアウトできる人はなかなかいません。でも、自然に自分をさらけ出してしまっている「アウトな人」の姿に憧れを感じてしまっている……。なんてことはないでしょうか?
有名人の知られざる「アウトな面」が垣間見えるのも楽しいのですが、強烈な個性を持つ「アウトな一般人」の面々こそが、この番組の真骨頂です。
最近、この手の暴露番組、結構ありますが、「アウト×デラックス」のトンガリ具合は、群を抜いています。(コレに比べたら、「アブナイ夜会」なんて子ども番組。笑)
常識人だけが「高好感度」とは限らない
誰でも嫌われるのは、嫌ですよね。できれば、人には好かれたいと思うものです。
でも、熱狂的なファンを持つ人には、必ずアンチがいるのです。そして、アンチが多いと言われる人には、熱狂的なファンがついているものです。
このロジックを「アウトな人」に当てはめてみます。
世間一般の常識からずれていると言われる「アウトな人」は、非常識な人と非難されるのでしょうか? もちろん、そういう一面もあるでしょう。
でも、人は心の奥で、いわゆる「一般常識」に従うのを必ずしも良しとしない気持ちを持っているものです。
常識から外れたことをしてみたい、人の目を気にしないでやりたいことをやってみたい、という気持ち、あなたも持たれたことがあるのではないでしょうか?
「アウトな人」が、時に、あなたの心の声を代弁してくれているからこそ、あなたはテレビに向かって声なき喝采を送り、ひそかに応援したくなるのではありませんか?
人が共感するポイントというのは、時代によって変わるものです。いわゆる「世間一般の常識」というのは、時とともに、ホントに変わるものですから。
常識は時代によって変わるものです。だから、あなたが今感じている「常識に対する違和感」は、いつか当たり前の感覚になっているかもしれません。
だから、自分の感覚を信じましょう。
常識が全てではありません。常識をひっくり返したところに、実は世の中が待ち望んでいる「新しい常識」があったりするものです。