肌寒い季節になりました。
今や、コンビニで温かいドリップコーヒーが飲める時代になりました。
実は、一見同じように見えるコンビニ各社のコーヒー、
結構、戦略的な違いがあるんですけど、ご存知ですか?
朝のオフィス街のコンビニにおける風景は、ここ2、3年で大きく様変わりしましたね。
朝のコンビニでは、おにぎりやサンドイッチといった朝食や
新聞や雑誌を求める人がレジに列をなしていたのが、
そこにコーヒーを求める人が加わるようになりましたよね。
消費税8%に歩調を合わせて、シアトル系コーヒーチェーンが軒並み値上げをして、
300円以上になっているのに対して、コンビニのコーヒーは、基本100円台。
「こんなので儲かるの?」と人ごとながら心配になりますね。
そのコーヒーをめぐる争いが熾烈を極めています。
その火付け役となったのが、業界トップのセブン-イレブンです。
2013年1月から1杯100円の淹れ立てコーヒー「セブンカフェ」の販売を開始すると、
年間5億杯を売り上げる爆発的なヒット商品となりました。
この「セブンカフェ」の好調を受け、ライバルのローソンとファミリーマートも
それぞれ「マチカフェ」「ファミマカフェ」の事業を強化しています。
コンビニで低価格でコーヒーが買えるようになった結果、
コーヒーに対するレベルの底上げがなされたのと同時に、
コーヒーはマーケティング上の重要な戦略商品になったと言ってもいいでしょう。
コーヒー単品での儲けは求めず、客数を稼ぐ手段と割り切り、
コーヒーと一緒におにぎりやサンドイッチを買ってもらうことで、客単価を稼ぐというのが作戦でしょう。
絶対客数を取り込む手段として、
コンビニ各社はコーヒーに力を入れざるを得くなったのです。
このコンビニコーヒー、2014年に入って、大きな異変が起こります。
各社がカウンターコーヒーをさらなる戦略商品と位置づけ、
徹底的な品質向上に取り組んだのです。
セブンは10月下旬、カウンターコーヒーをリニューアルすることを決定しました。
一方、業界2位のローソンも9月30日から全国約9300店で展開する
「マチカフェ」のメニューを一新しました。
Sサイズ(160g)を新設して100円に、
またMサイズとLサイズは増量したうえに、価格を値下げすることを発表しました。
また、業界3位のファミマが、14年4月からそれまで120円で販売していたS
サイズのコーヒーを100円に値下げしセブンに追随しました。
各社、最低価格を揃えてきたことで、
より品質面での競争が激しくなったと言えます。
ちなみに、ローソンはコンビニコーヒー市場で独自路線をとってきました。
注文を受けてから店員が1杯1杯丁寧にコーヒーを淹れて
カウンターで手渡しする接客を売りにしてきたのです。
ライバル2社がセルフサービスで提供するのとは違って、
ローソンの場合、手間と時間がかかるのです。
価格はライバルの100円に比べて185円と高額でしたが、
ライバルとは一線を画すサービスで競争に勝ち残ろうという
差別化戦略を貫いてきたのです。
ところが、ここにきて、ローソンが戦略を変更しています。
手渡しにこだわり、他コンビニと差別化してきたのですが、
ライバル企業と価格を揃えて顧客を取り込む戦略に180度舵を切り直したのです。
このローソンの戦略の変更には、どんな意味があるのか?
ここを掘り下げることによって、
ビジネス上の戦略について学ぶことができるのです。
次回更新でお伝えします。