スタートアップ期の起業家は、お客さまも商品も、絞り込む。コレ、鉄則です。
しかし、このことに気づかないまま、スタートしてしまっている方がいらっしゃいます。気づいていても、うまく絞れないからやってないという方もいらっしゃいます。
なぜ、お客さまを絞ることが重要なの?
「お客さまを絞る」このことは、起業に関する教科書には必ず書いてあります。セミナーでも必ず語られていることです。
大切だとは思うけれど、うまくできないで困っている。よくそんな話も伺います。
確かに……。難しいんですよね、絞るのって。
どこに焦点を当てて絞ればいいのか、迷いますし、正直勇気も要ります。
でも、まずはやってみてほしいんですよね。うまくういかなかったら、その時はその時です。
何とかして、お客さまの絞り込みの大切さを伝えたい……。という想いから、このブログでもいろいろなカタチでお伝えしています。
お客さまを絞り込むとお客さまが増える、摩訶不思議なロジック
何をするか、ではなく、誰のためにするか。
お客さまを明確にすると、あなたは選ばれる
とは言え、やっぱりどうすればわからない〜というお声もよく伺うので、今日は少し違うやり方でお伝えしようと思います。
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(略称PPM)というビジネスマネジメントの考え方があります。
PPMの考え方は、複数の製品に対して、効果的に経営資源を配分し戦略的に目標の策定などを行う際に効果的に活用することができます。
と、説明しても少しわかりにくいですね。
PPM、一般的には、このようなポートフォリオで説明されることが多いです。
図の縦軸に市場成長率を、横軸に相対的マーケットシェア(市場占有率)をおきます。
この表の中に、現時点の自社の事業や商品・サービスが図のどこに位置するかを置きます。その結果を基に、それぞれの事業の方向性と経営資源配分のウェイト付けを行なうのです。
PPMポートフォリオの解説
金のなる木
市場シェアは高いが、市場の拡大はあまり見込めない。市場シェアの高さから大きな利益が見込める分野。
花形
成長率・占有率ともに高いが、競合も多く、占有率を維持・拡大していくには、多額の追加投資を必要とする。高シェアを維持し続けることで「金のなる木」となる分野。
問題児
成長率が高い半面、占有率が低い分野。成長を維持させるには多額な投資資金が必要。占有率を高めることによって「花形製品」となる分野。
負け犬
市場占有率が低く、今後の市場成長率も見込めないため、撤退が検討されるべき分野。
PPMでわかること
世の中のビジネスを一定の切り口に沿って、PPMのポートフォリオに落とし込むと、いろいろなことがわかってきます。
例えば、家電業界。
このほど、深刻な赤字決算を発表したシャープは、完全に「負け犬」ゾーンの会社ですね。それに対して、三洋電機は、事業を整理し、ハイアールへの事業売却&パナソニックの子会社化を行った結果「負け犬」ゾーン入りを免れ、再び「問題児」ゾーンからやり直そうとしています。
ふとんクリーナーで売り出し中のレイコップは、展開商品も市場も徹底的に絞り込んで成功をおさめています。「問題児」ゾーンで台頭するための戦略がズバリ当たった会社ですね。
パナソニックや日立は、国内売上ベースでは高シェアなので「花形」とも「金のなる木」とも言いたいところですが、海外市場を含めて考えると、ひょっとしたら「負け犬」に足を突っ込んでいるのかもしれません。
例えば予備校業界。
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少し前に代々木ゼミナールの事業縮小についてのニュースがありましたね。ひと昔前まで、予備校と言えば、「浪人生対象」で「大教室で授業」というのが当たり前でした。でも今や少子化の時代、浪人生対象のビジネスモデルは成り立たなくなってきています。完全に「負け犬」ですね。
それに変わって台頭してきているのが明光義塾や栄光ゼミナールのように「個別対応」を売りにしている、学習塾タイプの予備校です。これらの塾は、中学生、高校生も対象にしているので、継続して長期間通ってもらえるし、きめ細かい対応は今の時代に合っているので、このゾーンが「花形」と言えますね。
また、「人気講師の授業を衛星配信」することで、全国どこでも質の高い授業を提供できるというビジネスモデルで伸びているのが、林修先生で有名な東進ハイスクールです。このタイプの予備校は、生徒が増えれば増えるほど、利益率が高くなります。「金のなる木」です。
これから期待できるのは、自宅で自分のペースに合わせて学習できるタイプの授業を提供してくれる予備校ではないでしょうか。例えば、進研ゼミのベネッセには小・中学生学習用のiPadアプリがあります。大学受験用のアプリが開発されたら、おそらく安価で提供されるでしょう。大規模授業と個別対応の二極化に加えて、価格面でも個別対応=高価、アプリ学習=安価といった二極化が起こりそうな気がします。大きな可能性を秘めた「問題児」になりそうですね。
こう考えると、市場の捉え方によって戦略が変わることがお分かりいただけると思います。
こんな大企業の話をされても……。とのお声も聞こえてきそうですね。失礼いたしました。
次回更新で、わたしの得意分野の話に置き換えて、わかりやす〜く、ご説明しますね!!