幅広いお客さまにまずひとつ買っていただくのか、少数のお客さまに何度もリピートしていただくのか。
これって、とても重要な戦略です。 価格設定やターゲットの絞り込みにも関わります。
つまり、中身が同じビジネスでも、お客さまの目的は何なのか?で、必要とされる要素は異なるんですね。
情報収集チャネル「書店」で気づいたこと
お客さまのお役に立つには、まず自分自身にいろいろな情報をインプットすることが重要です。
幅広く情報収集するために最適なチャネルと言えば書店!
というわけで、週1回位は書店に足を運ぶのですが……。
ビジネス書は、昔は「ハードカバーで重い」というイメージがありましたが、最近は随分変わってきましたね。
フォントが凝っていたり、図や写真を多用したり、カラーだったり。判型も、新書版は珍しくありませんし、たくさんのベストセラーが生まれています。
で、最近気になるのは、文庫本のビジネス書です。
何よりも小さくて手軽で安い!
駅の売店で見かけることも多いので、ちょっとした時間つぶしに読むのにいいかな…と思っていたのですが、ちゃんと読むと、これがなかなかあなどれない!
ハードカバーなら1500円程度、新書なら700~800円位するのに対して、500~600円位と安いのにもかかわらず、良い本は本当に中身が濃い!!
なんか、こんな値段でいいのかな~と罪悪感を感じることもあるくらいです。
「本が売れない」と言うけれど
どうして文庫本のビジネス書の中身が濃いのか?
ちょっと、マーケティング的に考えてみます。
まずは、日本における出版の仕組みの影響が大きいんですね。
出版不況と言われる昨今ですが、今、日本で1年間に何冊の本が出版されているか、ご存知ですか?
2009年、日本出版学会のデータによりますと、
書籍の推定販売部数は7億1781万冊(ピークは、1988年の9億4349万冊)
推定販売金額は8492億円(ピークは、1996年の1兆900億円)
なお、返品率は40.6%あります。(出版されたものの、売れなくて出版社に帰ってきた本が、全体の40%もあるということです!!)
また、出版科学研究所によりますと、2011年の書籍の新刊点数は7万5810点だったということです。毎日200点以上の新刊が世に出ていることになりますね。
ただ、1万部以上発行され、1万部以上売り上げるのは、そのうちの1000点程度で、10万部以上の「ベストセラー」となると、ごくわずか。大半は2000~4000部程度の発行部数だそうです。
なので、芥川賞で話題の又吉直樹さんの「火花」が200万部出荷というのが、いかに凄い数字なのかがわかりますね。
本がこんなに売れない時代となると、出版社も売るために脳みそを使いますよね。(笑)
そうか、文庫本を3冊売れば、ハードカバー1冊分以上の売上になる!
文庫本なら安いから、いい本だったら買いたい人も多いだろう。
よし、文庫本を売ろう!
そう思っている出版社(かどうか、わかりませんが…まあ、こんな感じではないでしょうか?)が、最近続々と文庫本市場に参入し、以前から文庫で実績のある出版社含めて、しのぎを削っている訳です。
そもそも、文庫本ってどんな本?
文庫本は、かつては「名著の普及」を目的として発行されたものでした。
元々はハードカバーとして出版されたものが、発売から2年半から3年の間をおいて、文庫化という形で刊行されることが典型的なケースでした。
最近は、最初から文庫本として発売されるケースも増えています。
ハードカバーは書店でないと買えませんが、文庫本なら、コンビニや駅売店でも売っています。ハードカバーより格段に広い販路があるのは文庫本の強みですね。
さて、そういう文庫本市場で売れるビジネス書はどんな本でしょうか?
文庫本ビジネスの戦略は?
文庫本について考えてみると、同じ内容の本でも、判型や装丁のやり方、および販路によって、売れ方には違いがありそうだということに気づきました。
誰がどんな目的で買うのか、が異なるからですね。
つまり、中身が同じビジネスでも、お客さまの目的は何なのか?で、必要とされる要素は異なるということですよね。
幅広いお客さまにまずひとつ買っていただくのか、少数のお客さまに何度もリピートしていただくのか。といった戦略面にも関わってきます。
さて、なぜ、文庫本市場がアツいのか? もう少し考察しました。
次回更新に続きます。