あなたのビジネスに価値を見出してくれているお客さまは、あなたの商品やサービスを手に入れることで何を得たいと思っているのでしょうか?
「お客さまは何を求めているのか」「お客さまに伝わって、一番喜んでくださる情報は何か」
お客さま目線で、見直してみる必要、あるかもしれませんね。
失敗CMってどういうこと??
先日、わたしの大切な情報源であるYahoo!ニュースで、こんなヘッドラインが流れてきました。
別に制作に失敗したCMをそのまま流したということではありませんでした。
「失敗CM」とは、大分県臼杵市の醤油メーカーフンドーキン醤油の「初めて料理をする人が危なっかしい手つきで失敗しながら一つの料理を作り上げる様子」を描いたCMが、世界的な広告祭「ADFEST(アドフェスト、アジア太平洋広告祭)」で、映像部門(食品・調味料)の準グランプリに当たる銀賞を受賞したということでした。
CMはこちらです。
このCM、九州限定なんですね。知らなかったです。
実は、昨年の7月に、九州在住のクリエーターでつくる九州アートディレクターズクラブ(伊藤敬生氏代表)が開いた「K−ADCアワード2014」でもグランプリを受賞しているという、有名なCMなんだそうです。
広告界の重鎮が脱帽した「失敗ドキュメント」 フンドーキン醤油(大分県)
このCMの特徴は、以下の2点にあります。
・ターゲットを「料理をする人たち」ではなく「料理から遠い人たち」とした。料理する時の失敗を描いて、「(料理は)面倒くさいけれどやってみたら意外と楽しい」ということを、料理をしない(したがらない)人たち伝えようとした。
・映像は、一般人の出演者に携帯でも撮影してもらった。素人だから「引き」の映像が多いが、一気にリアルさが増した。プロが撮ると、表情のアップをきれいに撮るが、素人の「引き」の絵の方が断然面白い。
確かにこの危なっかしい手つき、実に面白いです!!
おいしい醤油を買いたいと思っていない人に、醤油を売るには?
普通、醤油などの調味料のCMは、その調味料を使うことで「料理が美味しくなる」「他社の同じような商品とは◯◯が違う」ということを伝えようとします。しかし、そんなCMはありきたりです。
醤油の本当の美味しさなんて、食べてみないとわからないのですが、「醤油は昔から決めている人が多く、(商品を伝えても)簡単に変えにくい。」ものです。画面で、いくら「おいしい」と伝えても、美味しさを求めるお客さまには伝わらないのです。
だったら、そもそも「おいしい料理を作りたい」と求めていない「料理素人」に、おいしさ、味ではなく「料理の楽しさ」を伝えるにはどうしたらいいか?という切り口で考えて、この伝え方をやってみせたところに、このCMの良さがありますね。
料理好きの人に「醤油の美味しさ」を伝えて、今使っている醤油からの買い換え需要を狙うのではなく、「料理なんて面倒くさい」「自分になんて無理」と思っている人に、「失敗してもいいじゃない、やってみたら以外と楽しいかもよ」という「料理してみることの楽しさ」を伝えることで、「なんだか楽しそう」という潜在的なニーズを喚起しています。
CMの世界では常識と言える、商品(醤油)の品質の良さや、他社のとの違いについては、一切語っていません。
語っているのは、「(醤油を使って)料理してみると、以外と楽しい」ということです。
お客さまは、モノを買いたいと思っているのではありません。そのモノを通して「体験」することの楽しさを得たいと思っているのです。あなたのビジネスに価値を見出してくれているお客さまは、あなたの商品やサービスを手に入れることで何を得たいと思っているのでしょうか?
「お客さまは何を求めているのか」「お客さまが一番喜んでくださる情報は何か」
お客さま目線で、見直してみる必要、あるかもしれませんね。
PS.九州のCMといえば、これも有名です。未見の方は、ぜひ。