モノが豊富な現代、お金さえあれば、なんでも買うことができる時代、お客さまは、モノを買いたいと思っているのではありません。
お客さまは「自分で体験することの価値」「素晴らしい想い出」を買いたいのです。
マーケティング3.0の時代と呼ばれる現代、モノは豊富にあって当たり前、競合他社と差別化できて当たり前です。
品質面で最も優れていて、なおかつ「独自のウリ・セールスポイント」はあるのが当たり前、その上で「お客さまに選ばれる何か」が必要とされている時代です。
マーケティング3.0の時代、誰が誰にどんな理由で届けたいと思っているのか、商品に込められている想い、ストーリーがあるかどうかが、お客さまが選ぶポイントなのです。
泣けるCMが伝えてくれること。
少し前に、こんなCMが話題になりましたね。
盛岡の音楽教室CMが「泣ける」と話題
【感動CM】東北・盛岡の音楽教室のCMに涙する。地方企業が伝える音楽の力と動画マーケティング
動画マーケティングの成功事例としても紹介されていますので、あなたもご覧になっていらっしゃるでしょうか。
不器用な父が一生懸命にピアノを弾いてくれる姿を見た娘は……。
岩手県盛岡市の書店・音楽教室東山堂のCMです。
「娘の結婚式に父親が祝福の気持ちを伝えるためにピアノを習って弾けるようになる」という一場面を切り取って見せることで、「大人がピアノを習って弾けるようになる」ことの喜びを伝えてくれています。
「自分が何かできるようになって、誰かに喜んでもらいたい」というニーズ、具体的な例として「娘の結婚式で祝福の気持ちを伝えたい」を満たす手段として、東山堂は「ピアノが弾けるようになれば、結婚式でピアノを弾いて気持ちを伝えることができますよ」と伝えているのです。
満たしたいのは、お客さまの「娘を祝いたい気持ち」、そのための手段として「ピアノを弾けるようになる」を提供しているのです。
想い出&体験にこそ、お客さまは価値を見出す。
ブログ記事「素人の失敗」を見せることで、潜在的ニーズを見事に掘り起こしたCM!で、大分県のフンドーキン醤油のCMの事例についてもお伝えしました。
フンドーキン醤油の場合は、料理好きの人に「醤油の美味しさ」を伝えて、今使っている醤油からの買い換え需要を狙うのではなく、
「料理なんて面倒くさい」「自分になんて無理」と思っている人に、「失敗してもいいじゃない、やってみたら以外と楽しいかもよ」という「料理してみることの楽しさ」を伝えることで、「なんだか楽しそう」という潜在的なニーズを喚起しています。
マーケティング2.0の時代であれば常識の、商品(醤油)の品質の良さや、他社のとの違いについては、一切語っていません。
語っているのは、「(醤油を使って)料理してみると、以外と楽しい」ということだけです。
東山堂も、「ピアノが上達する、うまく弾けるようになる」といった技術的な価値ではなく「ピアノが弾けると、こんなに素晴らしい体験ができる、想いが共有できる」という、体験の価値を伝えています。
体験価値を伝えるのに、最も有効な手段。
これらの事例が伝えてくれているのは「そうか、動画マーケティングが有効なんだな」「地方CMって面白いんだ」ということだけではありません。
お客さまは「自分で体験することの価値」「素晴らしい想い出」を買いたいのです。
それを伝える手段として、動画マーケティングは確かに有効です。ただ、「これからは動画の時代」「動画であれば伝わる」と考えてしまうのは、少々短絡的かもしれません。
まずは、あなたがお客さまに提供できる「体験価値」とは何なのか?
これを明確にすることですね。
お客さまは、モノを買いたいと思っているのではありません。そのモノを通して「体験」することの楽しさを得たいと思っているのです。
あなたのビジネスに価値を見出してくれているお客さまは、あなたの商品やサービスを手に入れることで何を得たいと思っているのでしょうか?
「お客さまは何を求めているのか」「お客さまが一番喜んでくださる情報は何か」
お客さま目線で、見直してみる必要、あるかもしれませんね。