利益を上げることと、イメージを上げること。
この二つを同時に成し遂げるのは、なかなか難しいことです。
短期で結果を出したいなら、イメージを犠牲にして、売上に走る。長期にブランドを築きたいなら、売上を犠牲にして、イメージにこだわる。
どうしても、どちらかを選ばなければならない場面があります。本来ならば、ブランディングを意識してイメージアップに集中して取り組み、イメージが浸透した結果、売上も上がる……と狙いたいところです。
ただ、成果につながるまでは時間がかかるものです。
それまで待てるか、あきらめずに手を打ち続ける体力(資金力)があるか、これもなかなかの問題です。
お客さまの行動を予測した広告の例
イメージアップを狙った広告の例として、月刊女性誌の表紙裏から続くグラビアページをイメージしてみてください。
ほとんどの場合、ラグジュアリーブランドのイメージ広告が載っていますよね。スーパーモデルがミステリアスに微笑むページが何ページも続きます。
このような、お客さまにブランドのイメージを伝えるのが目的の広告は、商品の紹介(品質・機能・価格等)は載せないことが多いはずです。そして、このタイプの広告が、実際の売上に影響を与えるまでには、少々時間がかかることが予想されます。
広告を見て、ブランドに好感を持ったお客さまは、雑誌の中で商品が紹介されているページを見たり、ウェブサイトを見たりして、自分なりにイメージを膨らませます。自分のイメージした商品があることを予想した上で、お客さまは。実際に店舗に足を運ぶことになるので、それまでにはどうしても少し時間がかかります。
これが同じ女性向けの雑誌でも、女性週刊誌であれば、具体的な商品の広告、それも、直接的に価格や効果効能をうたった「すぐ買いたくなる」広告が載っているはずです。
このような広告は、雑誌を手にした瞬間に、買いに行ってもらうことが目的ですよね。だから、雑誌の掲載週には具体的に売上という形で効果が現れることが期待されます。
イメージアップと売上の関係
「売上を上げるため」の対策には、大きく二通りあります。短期的な対策と、長期的視点に立っての対策です。
短期的な対策とは、フロント商品で集客して日銭を稼ぐ的な対策、長期的視点に立っての対策とは、イメージにこだわった、ブランディング対策のことです。
この両者には、相容れないものがあります。
イメージアップと売上、二つの対策を打ったところで、同じスピードで成果は出ないものです。
先ほどの女性雑誌の例のように、イメージアップやブランディングを意図として、企業理念やミッションを訴えるタイプの企業広告では、通常、商品の紹介は行いません。
このような広告を見たお客さまは、企業やブランドそのもの「あり方」に興味を持って、「このブランドの商品を買ってみたい!」「どんな商品を扱っているのか?」と、商品にも興味を持つという流れになります。
イメージアップの対策の効果が出るのには、時間がかかるものですが、目に見える形で効果が現れるようになるまで、あきらめずに手を打ち続けることができるかどうかが、大切なポイントです。
優先順位付けに必要な考え方は……。
短期で結果を出したいなら、イメージを犠牲にして、売上に走る。長期にブランドを築きたいなら、売上を犠牲にして、イメージにこだわる。
どちらか一方の作戦しか取れない場合、どちらから先に打つか? 優先順位を決める必要があります。
すぐ集客して短期的に収益化したいのか? 長期的な視点でブランドとしての魅力を高めたいのか?
ここで大切なのは、あなたの価値観です。
自分が何を大切にしたいのか? あなたがどちらを優先するのか? あなたのビジネスに対する根本的な考え方が問われます。