自分のことをわかってほしいと、相手に伝えたいと思う時、何をどうやって伝えますか?
どんなことが伝わったらいいなと思いますか?
そのために、どんな言葉で伝えますか?
言葉にしないと伝わらない、それって本当?
よく、「言葉にしないと伝わらない」と言いますよね。
例えば、夫婦間のコミュニケーションにおいても、妻は夫にきちんと言葉で愛情表現してほしいと思っているけれど、「そんなの言わなくてもわかっているだろう」と思っている夫は、改めて言葉にすることはない。というか、なぜ、言葉で言うことを求められるのか、わからない、とか。
これって一理あるんですけど、じゃあ、言葉で言いさえすればいいのか?と言うと、これも少し違います。
言葉にしないと伝わらない。それは事実ですが、何を言葉にして伝えるかによって、相手への伝わり方は変わるのです。
話しすぎると、相手はどう思う?
例えば、交流会やセミナー等で初対面の人と名刺交換する時、どんなことを話しますか?
「自分のことをわかってほしい!」と、一生懸命「自分がやっていること」を話そうとしていませんか?
ところが、思うように相手が関心を示してくれない、となると、「あ、まずい」と思って、さらにいろいろ話してしまう、とか。
気がついたら、自分ばかり話してしまって、相手はすっかり辟易……。自分に興味を持ってもらえることなく、挨拶を交わしておしまい。なんてこと、ありませんか?
これって、話しすぎてしまうことで、かえって相手の関心を失ってしまっているという例です。
伝わっている? 伝わっていない?
自分が伝えたいことが伝わっているのかどうかが不安だから、つい、話しすぎてしまう……。
よくあります。
では、どんなことが伝わったら、相手は自分に興味を持ってもらえるのでしょうか? 自分の場合に置き換えて考えてみましょう。
とあるビジネス交流会にて。あなたは、こんな人と名刺交換したとします。
Aさん
わたしはカラーセラピストの仕事をしています。
色って様々なイメージがありますよね。例えば赤や黄色などの暖色は、暖かい、明るいイメージですし、青や紺などの寒色は、冷たい、暗いイメージがありますよね。
でも、色って、これだけじゃなくて、すごいパワーがあるんですよ。
例えば、最近気になる色とかありますか? 気持ちって、毎日変わるじゃないですか。だから、気になる色って、実はその時々のあなたの深層心理を表しているんですよ。どの色を選ぶかは、自分の気持ちを映し出している鏡みたいなものとも言えますね。
言いかえれば、人の気持ちはカラーによって変えていくことができる可能性を持っているわけです。これを利用したのがカラーセラピーなんです。
Bさん
わたしはカラーセラピストの仕事をしています。
でも、2年前までは主婦だったんです。特にやりたいことなくて、家計の足しにパートしているだけだったんです。元々、おしゃれが好きで洋服が好きだったんですけど、なかなかそれもできなくて。
毎日、ストレスいっぱいで、このままでいいのかなって思っていたんですけど、どうしたらいいのかわからなくて……。
でも、カラーセラピーに出会って、好きだった洋服選びのセンスも活かして、自分にしかできない仕事ができるということがわかってからは、もう、人生変わりましたよ。
あなたはAさんにもBさんにも全く面識がなく、「カラーセラピスト」という仕事についても、何も知識がなかったとします。
さあ、AさんとBさん、あなたはどちらの方の話を聞いてみたいですか?
結局、伝わること。
何も知識やきっかけがないのに「カラーの仕事」に興味を持つ人はいませんよね。
だから、何も知らない人に「カラーの仕事とは何ぞや」を言葉を尽くして語っても、それだけで興味を持ってもらえるとは限りません。だから、Aさんの話を聞きたいと思ってくださるのは、そもそも「カラー」に興味を持っている人でしょう。
ですが……。人は誰しも「自分らしく生きたい」「生きがいがほしい」「自分のアイデンティティがほしい」と思っているものです。意識していなくても、それこそ深層心理では。
「何の生きがいもない日々を送っていたのに、あるきっかけで人生変わった」
「好きだったことを活かして、仕事にすることができた」
一般的には「夢物語」と捉えられてしまいそうなことを、実現している人が目の前にいる。
そんな人の話だったら、聞いてみたいと思いませんか? その人が「人生を変えたきっかけ」や、その人が「好きだったことを活かした仕事」が何なのか、ちょっと気になりませんか?
Bさんの話は、特にカラーに興味がない人でも聞きたくなるのではありませんか? 「何か生きがいがほしい」「何か仕事をしたい」と思っている主婦の方であれば、なお、刺さるのではありませんか?
もうおわかりでしょうが、実は、Aさん、Bさん、同一人物です。
伝え方の違いで、これほど違う伝わり方をするのです。
伝わってほしいのは、あなたの人間性ではありませんか? 相手の方には、あなた自身に興味を持ってもらいたいのではありませんか?
伝えたいのは「あなたの想い」ですよね。
言葉を尽くすことがだけが伝える手段ではありません。
あなたが何をやっているのか、あえて「言わない」ことで、伝わることもあるのです。