伝えたい、なんとかして伝えたい!! と思うと、人は言葉を尽くして伝えようとしてしまう傾向があるものです。
いろいろな角度から伝えようと努力することも、もちろん大切です。
それ以上に、自分のイメージを適確に伝えられる「ひと言」「一行」を見つけることが大切ですね。
良い企画の条件
先日、野地秩嘉さん著の「企画書は一行」という本を読んでいたところ、こんなことが書かれていました。
企画の意図が相手に一行もしくはひとつの言葉で伝わること
企画書に魅力的な一行があればそれは大きな武器となる
相手の心に突き刺さる一行が企画を実現に結びつける
そうか〜。そうですよね。
ヒットする企画というものは、そのコンセプトが一行(一文)で表現できて、しかも、意図するところが伝えたい相手に伝わるものであると言われています。
こんな例が挙げられていました。
アメリカ映画界の大物プロデューサーに、ザナックという親子がいる。
父ダリルは、わが谷は緑なりき、イヴの総て、といったアカデミー賞映画、怒りの葡萄、史上最大の作戦といった話題作をプロデュース、息子リチャードもスピルバーグの出世作ジョーズをプロデュースした。
親子が守っていた鉄則は、
映画を宣伝する時は一行にすること。一行で表現できない映画はヒットしない。
というもの。
息子のリチャードは、自分がプロデュースした「ジョーズ」を「美女がサメに襲われる映画」と表現した。父親のダリルは、「史上最大の作戦」を「空前の金をかけた、空前のオールスター映画」と表現した。
宣伝ポスター、予告編などのコンセプトをすべて統一した結果、両作品共大ヒットした。
確かに、美女がサメに襲われる映画だ!
なるほど! ヒットする企画はひと言で言えますね!!
例えば、ブログ記事潜入レポ!ヒット作連発マンガ家の発想術を探る!でご紹介したマンガ「インベスターZ」は「中学生が株式投資で学校運営をする話」です。
確かに、ひと言です!
TOKIOがめざす境地を一言で表現
一行で表現される言葉は驚くほどシンプルです。しかし、一行にこめられた表現力と説得力が企画の魂になるのです。
要するにどういうことなの?
この質問に対する答えが一行で語られ、質問者が納得できればOKということですね。
そういえば……。わたし、もうひとつエピソードを思い出しました。
ひと月ほど前、毎週日曜日夜10:00〜「トーキョーライブ22時」で、TOKIO松岡昌宏くんが視聴者からのこんな質問に答えていました。
「TOKIOはどこに行くのですか?」
松岡昌宏くんの答えは「ドリフターズだね」
伝わりやすい「平成の◯◯」
あのザ・ドリフターズ、「コント集団」「お笑いグループ」の印象が強いかもしれませんが、元々はバンドで、メンバー全員楽器が演奏できて、レコードも何曲も出しています。(1966年のビートルズ日本公演の前座を務めたという話は、あまりにも有名です!)
TOKIOと言えば、「農業」「漁業」のイメージが強く、本業であるバンド活動のイメージがめっきり薄い昨今ですが、彼らはちゃんと自分たちの原点はバンドだという意識はあるんですね。
その上で、お客さまに求められて、なおかつ自分たちが好きでできることをやって見せているというのが、TOKIOの今の状態ですよね。
万人に愛されたドリフターズ、あの境地をめざしたいというのが松岡くんの想いで、それを一言で表したのが「ドリフターズだね」という言葉だったのでしょう。
TOKIOは平成のドリフターズをめざす
いいキャッチコピーじゃないですか!
「平成の◯◯」「現代の◯◯」といった表現で、◯◯の中にかつてのスターや歴史上の名前を入れて表現することがありますが、確かにこの伝え方はイメージしやすく、わかりやすいですね。
シンプルが一番!
伝えたい、なんとかした伝えたい!! と思うと、人は言葉を尽くして伝えようとしてしまう傾向があるものです。
わたしも「しゃべりすぎてるな」と思ってしまうこと、よくあります。
でも、最初の一言で、きちんと意図するところが相手に伝わればなんの問題もないんですよね。でも、うまく伝わらないから、次々言葉を探してしまうのですね。
いろいろな角度から伝えようと努力することももちろん大切です。
それ以上に、自分のイメージを適確に伝えられる「ひと言」「一行」「要するにこういうこと」を探すことにフォーカスしたいですね。