大学のブランディング戦略にもいろいろあります。
魅力的な学部学科、キャンパス等の施設の充実、名物教授の存在、etc.
それよりも何よりも効果がありそうなのは、卒業生が活躍すること、ではありませんか?
昭和顏女優2人の共通点
最近、「昭和顔」と言われる若手女優の注目株が次々登場していますね。
最も有名な「昭和顏女優」と言えば、黒木華(くろきはる)さんではないでしょうか。
黒木華さんは、2014年に映画「小さいおうち」で第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)、その後、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞し、一躍脚光を浴びました。その後、映画、舞台、テレビドラマへ次々出演し、2016年は映画「リップヴァンインクルの花嫁」、テレビドラマ「重版出来」に主演し、若手演技派女優の地位を不動のものにしましたよね。
そして、今、注目を集めている2016年下期NHK朝ドラ「べっぴんさん」に出演中の土村芳(つちむらかほ)さん。彼女も「昭和顏女優」と言われています。
べっぴんさん制作発表。左端が土村さんです。
2人とも、決して派手な顔だちではないけれど、どこかホッとする雰囲気を持ち、高い演技力で、周りの人を輝かせることにより自分の存在感をきちんと主張できる、そんな女優さんですよね。
この2人、実は共通点があります。
2人とも京都造形芸術大学芸術学部映画学科俳優コースの出身なんです。黒木さんが土村さんの一学年上で、2人は同時期に同じキャンパスで学んでいたんですね。
京都造形芸術大学の特徴
京都造形芸術大学、関東の方には馴染みがないかもしれませんね。
京都造形芸術大学と言えば、秋元康さんが2005年〜2013年まで教授(のちに副学長)をつとめられ、AKB48メンバーの衣装制作に京都造形芸術大学の学生さんが関わっていたことが、一番メジャーなエピソードでしょうか?
京都造形芸術大学の映画学科は、「私立探偵濱マイク」の林海象監督や、現在は高橋伴明監督が学科長をつとめていらっしゃるんですよ。
なんか「映画通・演技通」が集まりそうな感じがしませんか?
そして、卒業生の黒木華さん、土村芳さんの活躍ぶり。本当に良い広告効果が期待できます。
土村さんは大学HP「卒業生紹介」ページで紹介されています。
映画や演劇方面で著名な大学と言えば、日本大学芸術学部や桐朋学園大学が有名ですが、京都造形芸術大学は台風の目になるかもしれませんね。
大学のブランディングは何のため?
少子化の時代、学生集めに四苦八苦している大学は、おそらくかなりの数にのぼっていますよね。
学科の新設や改組は頻繁に行われ、横文字の学科名はすっかり珍しくなくなりました。自分が卒業した学部学科がなくなってしまったとお嘆きの方も多いでしょう。
なぜ、こんなことをするのか? これこそが、大学を少しでも魅力的に見せて、少しでも多くの受験生を集めようというブランディング戦略の一環ではないでしょうか。
学校名、学部・学科名の変更(今やカタカナ学科は珍しくなくなりました。)女子大の共学化、AO入試や推薦入試の充実、入試形式の多様化、郊外から都心へのキャンパス移転、サテライトキャンパスの設置、オシャレ学食やコンビニ等の施設の充実、etc.
学生が飛びつきそうな、魅力を感じてもらえそうなあの手この手、涙ぐましい努力の数々、本当に大変ですね。学生にとってはありがたい限りですが。
これらの施策の向こう側には、「受験生に選ばれる大学にしたい。喜んで入学してもらいたい。」という大学側の想いが透けて見えます。
卒業後のゴールイメージを見せる!
大学の人気というのは、単純にカリキュラムや教授陣の顔ぶれでは決められません。「学生が集まる」大学は、自然と入試レベルが上がりますから、大学としてのレベルも上がります。
卒業生の活躍ぶりが広く知られるようになれば「この大学で学んで卒業したら、あんな風に活躍できるんだ!」とイメージしてもらうことができます。
そこに魅力を感じて入学を決める学生が増えたら、こんなにいいことはありませんよね。
大学受験をめざす層という母集団数が減っていくのが確実な今の日本、選ばれる大学になるための努力のひとつとして、卒業生の活躍をアシストするというブランディング戦略、大いに効果がありそうですね。