起業に当たって、一番大切なことは何なのか、
当時のわたしは知りませんでした。
起業を考え始めた頃、わたしは「セミナー講師になろう」と思っていました。
会社員時代、わたしは社員教育やマネジメントの仕事をしてきて、自分でセミナーを企画運営して、社内で何十回も講師をした経験がありました。
また、学生時代は学生ガイドとして、4年間で200台以上の観光バスに乗って京都奈良のガイドをしてきました。
それこそ、何のマニュアルも見ないで1日中話し続けることもできましたし、話に興味を持っていない人の耳を一瞬で自分の方に惹きつけることもできます。
聴衆は多ければ多いほど「乗る」ことができるタイプで、多くの人に向けてわかりやすく話すということはお手のものでした。
「人前で話すことが得意」
だから、セミナー講師の仕事がいいのではないかと思っていたのです。
具体的に起業に向かって動き出そうと思ったものの、はたと気がつきました。
何をすればいいのか、何から始めたらいいのか、わからなかったのです。
ずっと会社員だったので、組織の中の枠組みで動くことしか知らず、情報は与えられるものだと思っていたのです。
でも、起業を目指して、ほんの少し足を踏み出してみたことで、多くのことを知りました。
その頃、わたしが当時の起業の師匠から言われたことがあります。
ビジネスで一番大切なことは、お客さまを作ること。
お客さまが来るようにする、はわかるけど、お客さまを作るってどういうことだろう?
当時のわたしには、全く理解できませんでした。
でも、仕方がなかったことかもしれません。
会社にいる限り、いわゆるお客さまを集めるということは会社がやってくれます。
わたしはずっと接客販売と、その関連業務の仕事をしてきたので、お客さまは「いらっしゃるもの」「来てくださるもの」でした。
来ていただいたお客さまに対して、どのように接客販売するか?ということをずっと考えて、そのやり方を教えるのが仕事でした。
そもそも、お客さまに来ていただくというのは、どういうことなのか?わかっていなかったのです。
気づいてしまえば、当たり前のことです。
わたしがいくら大勢の前で話すことが得意だからと言って、
話す相手のお客さまがいらっしゃらないことには意味がないのです。
お客さまとは、あなたにお金を払ってでも問題を解決してほしいと思っている人です。
どんなに良い商品・サービスを持っていても、お客さまがいらっしゃらなければ、何の役にも立たないのです。
あなたのところにお客さまがいらっしゃらないのは、あなたの知識が足りなかったり、技術が未熟なせいではありません。
あなたのことを知らないから。
ただ、それだけなんです。
ビジネスで一番大切なことは、お客さまを作ること。
そのために一番大切なのは、お客さまに知っていただくこと。
これに尽きるんです。