わたしの好きな言葉のひとつに「人生は何度でもやり直せる」というのがあります。
この言葉が当てはまるシチュエーションは、セカンドキャリアで新しいことを始めたりとか、離婚とか。例えば、大きな失敗をして多大なダメージを受けたとしても、人生、やり直せるものなんです。
今、それを地で行っている方が再ブレイク中ですね。
その人は、前園真聖さん。言わずと知れた、元サッカー日本代表選手です。
前園さんの波乱万丈人生
前園さんと言えば、28年ぶりに、サッカーがオリンピックに出場したアトランタオリンピックで、金メダル候補のブラジルと対戦し「マイアミの奇跡」と呼ばれた勝利を挙げた、日本中を熱狂させたカリスマキャプテンでした。
その時の印象は実に強烈で、サッカーに疎いわたしは彼の試合をろくに見たこともありませんが、名前はちゃんと知っていました。
ところが、2年前、彼は泥酔してタクシー運転手に暴行を働くという事件を起こしてしまいました。
運転手の通報で、前園さんは逮捕されたものの、処分保留で翌日には釈放されています。ちなみに、その後の事件情報をネット上で見つけることはできなかったので、起訴されなかった(=いわゆる「刑事事件」になっていない)可能性が高いです。
昔カリスマ、今いじられ!?
「酒は飲んでも飲まれるな」と言いますが……。前園さんが酒の失敗で起こしてしまった過ちの代償は大きいものでした。
当時出演していたテレビのレギュラー番組は降板、プロジェクトメンバーからは外され、地元の鹿児島県薩摩川内市のスポーツ大使も辞任することになりました。
その後しばらくは公の場から姿を消していた前園さんですが、昨年あたりからテレビで見かけるようになりました。
わたしが「あ、出てる」と彼を認識したのは、日曜日の「ワイドナショー」です。
前園さんは、バーテンダー風の衣装で、スポーツ関連ニュースについてのコメンテーター的な役割を担っていました。ところが、ことあることに松本人志さんから「事件」「酒」を思わせるトークを振られ、超真面目な顔で反省モードのコメントを繰り返していました。
その姿が実に面白く「この人は本気なのかな? それとも狙ってるのかな?」と気になってしまいました。
だって、選手時代の前園さんは、見た目カッコよかったですし、「遊んでそう」的イメージがありましたよね。
それが、今や皆無。見事に「いじられキャラ」になってしまってるんです。
たとえ失敗しても……。どうリカバリーするかが大切
たかが、お酒の失敗と言うなかれ、やはり「子どもに夢を与える」「スポーツマンシップ」というイメージを大切にしなければいけないアスリート出身タレントは、わずかなスキャンダルでも命取りです。
川合俊一さんや、松岡修造さんのように、過去の自分のキャリアを吹き飛ばすくらいの活躍実績がある方ならともかく(あ、でもスキャンダルはダメですよ。)、当時の前園さんのように、まだ「元サッカー選手」のイメージがついている方は、なおさらです。
もう、サッカーの世界でも、芸能界でも生きていけないかも。
という思いが、前園さんの頭をよぎったこともあったのではないでしょうか。
ただ、彼は復活しました。
一途に「反省」の姿勢を見せ続けることで。
自分で自分を許すこともなく、社会に許してもらうことを求めることもなく、ただ、一途に反省し続けています。
その姿が、逆に「バラエティ的に面白い」という結果につながっているのです。
やり直し人生に、未来を見つける。
「スマスマ大運動会」では、風邪気味だったのか?ガラガラ声で出演し、「なんだ、その声、飲んでるのか?」といじられ、「めちゃ×2イケてる 抜き打ちテスト」では、他の出演者は過去のアスリートとしての実績をいじられていたのに、彼だけは「例の事件」をいじられ。(笑)
「いじられる」ことで復活した、というか、新しい輝きを放つようになった、というふうにわたしには見えます。
きっと、元々、前園さんはそういう人だったんでしょうね。現役の頃は、背一杯「背伸び」をして、見せたい自分を演じていたのかもしれませんね。本当の自分を取り戻して、ラクに生きているように見えるので、今の方が、幸せなんじゃないかな?と、ちょっと思います。
戦略的なブランディングは「無理して演じる」のでは続きません。ありのままの自分のままで、「見せ方」を意識することでキャラ立ちするのが理想です。その点、前園さんは、元々が真面目なので、今はいい感じに見えています。無理しないブランディングがうまくいっていると言えます。
社会的常識に照らして、言い訳のできない過ちを犯したとしても、その後、どのように生きるかによって、人は復活することができるんですね。
だからと言って、事件を起こした人が誰でも許されるというわけではありません。(酒の事件といえば、SMAPの草彅くんも相当長い期間「謹慎」してましたもんね。)でも、その後の人生どう生きるか?は、自分次第。
人生は一度きりですが、気づいた時点から何度でもやり直すことができるのです。
前園さんの「真面目おもしろい」姿、これからも見たいですね!