もし、ビジネスが上手くいかないということがあったとしても、決して商品が悪いということが原因とは限りません。
要は、提案力です。お客さまに「欲しい」と思っていただける提案ができているかどうか、です。
どんな大きな会社でも、ひとりビジネスでも、必要な行動は同じです。
業界再編の波が……!!
先日、Yahoo!ニュースで、驚きのニュースを目にしました。
あの、ユナイテッドアローズさんが……!!
なんと、価格戦略の失敗により、ライトな顧客層がゴッソリ離れていったとのこと。企業規模が大きくなればなるほど、幅広い顧客に対応していく必要があるものですが、セレクトショップの勝ち組と思われていたアローズさんでも、市場の流れの読み間違いをするなんて……! 驚きです。
そういえば、こんなニュースもありましたね。
あの、ワールドさんが……!!
ファッション業界はトレンドの波に左右されるのが世の常です。よって、トレンドに合わせてブランドの改編が行われるのは、ある意味当たり前のことなのですが……。
それにしても、大規模。業態転換ではなく、500店舗も閉鎖というのは、穏やかではありません。
ちょっと気になって、検索をかけてみたら、見落としていたこんなニュースも見つけました。
TSIが11ブランド廃止 「プラネットブルー」「レベッカミンコフ」「ボディ ドレッシング」など
TSIとは、TSIホールディングスのことで、東京ブラウスさんやサンエーインターナショナルさんといった有名企業が含まれています。
ブランド廃止に伴い、希望退職も募集されるようで……。こんな大手の会社が……!!
これは、エライことです。
最近、シャープさんの赤字決算のニュースが流れましたよね。ヤマダ電機も46店舗を一気に閉鎖するとか。
家電業界も大変だなあと思っていたのですが、ついにファッション業界にも再編の波がやってきました。
時代の流れは止められない。
もう辞めた身とはいえ、かつてこの業界に身を置いていたわたしとしては、このニュース、やっぱり気になります。
華やかに見えるファッション業界ですが、その内情は、華やかなんてものではないです。
今や「洋服は定価で買うものではない」という意識、皆さんもお持ちではないでしょうか?
バーゲン期に限らないセール合戦、アウトレット店舗の増大等、価格にシビアなお客さまに対応するために、自ら価格競争の渦の中に飛び込み、自分で自分の首を絞めているという構図がずっと続いています。
日本で売られている商品でも実は海外生産のものがほとんどなのですが、最近は円安のため、原価率が上がっています。また、広告宣伝にはお金がかかりますし、店舗の維持にかかる経費もばかになりません。
販売価格が低下傾向にあるのに、体質的に高コスト構造という、もともと利益が上げにくいところに、怒涛の外資系ファストファッションの流入ときたら、この流れはもう止められないです。
人口が減りつつある今の日本では、従来からある日本型のブランドは淘汰されていくと思ってはいましたが、まさかこんなに早く、しかもこんな大手から始まるとは思いませんでした。
でも、世の中の流れを読んで経営判断をするというのはこういうことなのかもしれませんね。
先日お伝えしたPPM分析の考え方(詳しくはコチラ)で言うと、ワールドさんもTSIさんも、「閉鎖」される店舗も「廃止」されるブランドも、社内的に「負け犬」ゾーンにあるのでしょう。
ワールドさんもTSIさんも、幅広いお客さまのニーズに合わせようとするあまりに、やり過ぎてしまって、結果的にブランド展開が横に広がりすぎて、収拾がつかなくなってしまったのではないでしょうか。
「負け犬」ゾーンにある事業は、衰退期にあるのです。
存続させることで、他の好調事業に悪い影響を及ぼすのであれば、早く手を打つに越したことはないです。
次の手を打つのに必要なこと。
ワールドさんも、TSIさんも、「負け犬」ゾーンの事業を整理して、次はどんな手を打つのか?
非常に気になりますが、この2社のニュースを見る限り、新しいブランドの開発については伝えられていません。
わたしの考えですが、「お客さまのニーズ」「トレンド」に合わせて新しいブランドを次々開発するよりは、「既存ブランドをブラッシュアップ」して、「お客さまが買いやすいチャネルづくり」をするほうが、投資に対する効果が見込める気がします。
要は、今展開しているブランドでも、お客さま像(ターゲティング)の見直しをすることで、再生できるのではないかという考えです。
商品自体が悪いのではありません。
要は、提案力。お客さまに「欲しい」と思っていただけるかどうか、です。
価格面で勝負をしている限り、消耗戦にならざるを得ません。
安くてもお客さまを集めればいいという考えを捨てて、儲ける仕組みから新しいビジネスモデルを作らなければならないのです。
浮上のために次の手を打つのなら、絶対に必要なこと、まずは、存続ブランド毎にターゲティングの見直しをして整理することですね。
どんな大きな会社でも、ひとりビジネスでも、必要な行動は同じです。