ぱっと見、同じように見える仕事をしていても、自分のミッション・ビジョン、理想のお客さま像をどのように意識しているかは、人によって異なるものです。
大切にしているモノといった価値観、何からどのように取り組むのかといった優先順位。
これらを明確に意識していればいるほど、あなたは同業他社と比べられることはなく、オンリーワンの存在になれます。
ミッション・ビジョンは変化するもの
ブログ記事
天皇の料理番、篤蔵の成長ぶりにミッション・ビジョンを探る
の続きです。
例えば、料理人という仕事をしている方はたくさんいらっしゃいますが、
どんなお客さまのために仕事をしているのか(理想のお客さま像)
料理人という仕事を通して何を成し遂げたいのか(ミッション)
料理人としてどうなりたいのか(ビジョン)
は、お一人お一人違うはずです。(理想のお客さま像の明確化についてはコチラ、ミッション・ビジョンについて、詳しくはコチラをご覧ください。)
今回、題材として「天皇の料理番」を取り上げたのには、ちゃんと理由はあります。
「天皇の料理番」では、主人公の篤蔵が成長していく過程を丁寧に描いており、彼にとっての「大切なもの(価値観)」が変化していく様子がきちんと見てわかるようになっています。
つまり、同じ仕事をしていても、価値観や大切なものが変わることによって、理想のお客さま像やミッション・ビジョンが変わっていくということを伝えやすいと思ったからです。
では、具体例として「天皇の料理番」の篤蔵の理想のお客さま像・ミッション・ビジョンについて、わたしなりにイメージしてみることにします。
篤蔵の成長・三段階
第一段階:料理修行中の篤蔵
理想のお客さま像
自分自身(美味しいものを食べたい)
ミッション
一人前の料理人になりたい
ビジョン
料理の腕を磨いて、家族をきちんと養えるようになる
手段
華族会館で働きながら修行する(プラス、英国公使館で料理を学ぶ)
第二段階:フランス修行中の篤蔵
理想のお客さま像
日本に残してきた家族
ミッション
日本一の料理人になって、家族に恩返しをしたい
ビジョン
日本一の料理人になるために、フランスで最高の技術と知識を身につける
手段
フランスの有名レストランで修行する
第三段階:天皇の料理番になった篤蔵
理想のお客さま像
天皇
ミッション
日本一の料理人として、天皇に日本一の料理を食べてもらいたい
フランスで身につけてきた料理の技術と知識を日本に広めたい
ビジョン
天皇の料理人として、終生勤め上げる
日本のフランス料理のレベルを上げるのに貢献する
手段
天皇の料理番となって、天皇に満足していただける料理を作る
フランスで修行してきた成果を日本の料理人に伝える(書籍・研修等)
自分の人生を生きること、それは……。
篤蔵の理想のお客さま像も、ミッションもビジョンも、篤蔵成長に伴い、変化していきます。
第一段階の篤蔵は「なりたい自分になる」ことが第一優先で、そのための手段として、料理人になろうとしています。
それに対して、第二段階の篤蔵は「家族のために、なりたい自分になる」ことを意識して、日本一の料理人になろうとしています。
そして、第三段階の篤蔵は「自分の料理で誰か(この場合は天皇)の役に立つ」ことをめざしていて、そのために、自分の知識と技術をフル活用していこうとしています。
このように、理想のお客さま像も、ミッションもビジョンも、ライフステージによって変わるものです。
そして「どのような理想像であれば一番いいのか?」これには正解はありません。
自分が信じたものが正解であり、それを手に入れるために行動していくことが、自分の人生を生きるということにつながるのです。
自分が感じたイメージが、すべて。
ドラマ「天皇の料理番」、やっと佳境に入ってきましたね。
わたしがイメージした「フランス修行中」の篤蔵と、「天皇の料理番」になった篤蔵のミッションやビジョン、今後のストーリー展開上、多少のズレがあるかもしれません。
でも、いいのです。
今回の考察は、正解を出すことが目的ではありません。考え方のトレーニングのやり方のひとつとして、身近な題材で考えるとやりやすいということをお伝えしたかったのです。
ドラマ中、篤蔵は、自分の理想のお客さま像やミッションやビジョンについて語ってはいません。ドラマを見て、わたしが彼の理想のお客さま像やミッションやビジョンとして感じたイメージを、言葉で表現しました。
このように感じたということ、それがわたしにとっての真実なのです。
あなたは、どのように感じましたか?
ぜひ、考えてみてください。
ミッション・ビジョンを想像&妄想してみよう。
人がどのように情報からイメージを感じとるのかを理解していただいたら、あなたの発信した情報を受け取ったお客さまはどのように感じるのか?ということを、ぜひ考えてみてください。
めざすは、あなたのミッション・ビジョンが、自然に無理なく、お客さまにイメージとして伝わることです。
ミッション・ビジョンを作るのは難しいです。考えて、すぐ答えが出るというものではありません。
ただ、自分のことよりも、他の人のことは、案外よくわかるものです。
自分のことを考えすぎて、わけわからなくなったら、自分のことを考えすぎるのは一旦お休みして、自分の興味のある人や商品のミッションやビジョンについて考えてみてください。
あなたの好きなブランド、商品、あなたの尊敬している人、なんでもOKです。
無理に正解を出そうとする必要はありません。感じることが大切です。「きっと、こうなんじゃないか」とイメージするだけで大丈夫です。
想像力、妄想力、イメージする力、これらはビジネスを成功させるのに必要な能力のひとつです。
ミッション・ビジョンをイメージすることで、鍛えてみるのもいいですね。